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Special Reproduction

特殊生殖  ー 代理出産

取り組みと歩み

 現在、代理出産治療の新規相談は受け付けておりませんが、引き続きみなさんのご意見、国に対する要望、当事者の声を受け付けております。
こちらにお寄せください。

取り組みと歩み

 日本には、代理出産を禁止する法律はありません。ただし、日本産科婦人科学会(日産婦)は1983年、「体外受精の実施は夫婦に限り、受精した卵子はそれを採取した女性に戻す」という会告(規則)を定めました。これにより、非配偶者体外受精と同じく代理出産もまた、日本産科婦人科学会においておこなえないこととなりました。

 しかし海外では、代理出産を法律で許可している国、法律はないが許容している国があります。そのため、海外に渡って代理出産で子どもを得た夫婦も数多くおり、その数は既に100組を超えるとも言われています。日本では認めず、一方では海外に依存するという現状を生んでいるのです。

 そうしたなか当病院では、1995年にロキタンスキー症候群(生まれつき子宮がない疾患・遺伝に関係なく4~5,000人に1人の割合で生まれる)の女性患者さんと出会ったことをきっかけに、代理出産の実施を考えるようになりました。翌1996年に不妊治療体制をスタートしたのを機に、ガイドラインを整えて取り組み始め、そして2001年、子宮摘出をした姉夫婦のために妹が代理母となり出産したケースを公表しました(日本初)。(2006年より、代理母は依頼母の実母に限っています。)

 日産婦は2003年、あらためて「代理出産禁止」の会告を出して禁止しました。また、日本学術会議の生殖補助医療の在り方検討委員会(2006年12月~2008年3月開催)は、2008年4月に厚生労働大臣・法務大臣に提出した報告書で、代理出産を「原則禁止とすべき」としました。

 さらに、2009年2月28日には、日産婦より当病院に対し、代理出産実施に関する厳重注意処分が届いています。
 しかし、現実には代理出産を望んでいる人はおり、今後も海外に活路を求める人は増え続けると思います。

 このほか、生まれてくる子の立場や法的地位を守るため、民法改正なども必要と考えます。現行法において、依頼夫婦の子であるとの解釈は可能であるという話もありますが、現状としては判例において、子どもの母は「産んだ女性」とされ(1962年最高裁判例)、父親は「その女性の夫」(民法)とされているため、向井亜紀さん・高田延彦さん夫妻がアメリカで代理出産により双子を得たケースでは、出生届けが受理されないという事態が起きました。



当院の実施状況

 代理出産に関する国の法律はないため、当病院では代理出産に関する独自のガイドラインを設けて実施してきました。
 当病院ではこれまでに21例について代理出産を試み、14例出産16人誕生(うち実母による代理出産では、11例中10例出産10人誕生)が誕生しています(2014年3月末現在)。



 代理出産には下記の方法があります。うち当病院では当面「1-A」のみを実施してきました。そのほかの方法は今後の課題と考えています。

1.体外受精による代理出産
1-A.依頼夫婦の受精卵を使った代理出産
 依頼夫婦の精子と卵子を体外受精させてできた受精卵を、第三者の女性(代理母)の子宮に移植して子どもを得る方法。この場合、依頼夫婦と生まれた子との遺伝的つながりは保たれる。

1-B.第三者の精子または卵子を使った代理出産
 依頼夫婦の精子または卵子を、第三者の卵子(代理母とは異なる女性の卵子)または精子と体外受精させて受精卵をつくり、それを第三者の女性(代理母)に移植して、子どもを得る方法。この場合、依頼夫婦と生まれた子との間の遺伝的つながりは、夫婦どちらかにはあることになる。

1-C.第三者の受精卵を使った代理出産
 精子も卵子も第三者のものを体外受精させて受精卵をつくり、それをさらに別の第三者の女性(代理母)に移植して、子どもを得る方法。この場合、依頼夫婦や代理母と、生まれた子との間に遺伝的つながりはない。

2.人工授精による代理出産
 歴史的には最も早くからおこなわれてきた代理出産。依頼夫婦の夫の精液を、第三者の女性(代理母)の子宮に注入(人工授精)して、子どもを得る方法。この場合、子どもの遺伝上の母親は代理母となり、依頼夫婦と生まれた子との間の遺伝的つながりは、夫のみが持つ。


 ガイドラインではまず、前述の「1-A」のみ実施することとし、対象者は「婚姻関係にある夫婦で、妻が子宮が先天的もしくは後天的にない45歳までの場合」と限っています。45歳としたのは、通常でも女性が45歳以上の場合の妊娠は皆無に近く、出産したとしても子どもが成人になるまでに夫婦が養育できるか体力的・経済的にもリスクが高いと考えるためです。

 代理母については、当面は「依頼妻の実母に限り、原則として60歳前後までの方」としています(代理母の健康状態により年齢は多少の増減あり。法整備や補償制度のない現状において、代理母を実母とするのが最もトラブルやストレス等が少ないとの考えから)

 生まれた子については、現行民法などへの対応上、いったん代理母の子として出生届けを出し、後に依頼夫婦の子として養子縁組をすることにしています。
 ただし最近のケースでは、「普通養子縁組」ではなく「特別養子縁組」が裁判所により適用されました。この場合、戸籍には依頼夫婦の「長男」「長女」などと実子と同じ記載がされるので、養子であることは一見は分かりにくくなり、また法的に実子同様の扱いとなります。普通養子縁組より特別養子縁組の方が代理出産において子の福祉のためには良いと考えられています。

 なお、将来的には、代理母となる女性に万が一のことが生じた場合の補償制度なども整備していく必要があると思っています。


詳しくはガイドラインのページをご覧ください。



代理出産を巡る当院と社会情勢の経緯

1995年 20代前半未婚女性のロキタンスキー症候群(卵巣はあっても生まれつき子宮がない)の患者さん当院に来院。根津院長、代理出産についてより真剣に考えはじめる。
2000年1月 姉のかわりに子供を産んであげたいとの代理出産の依頼の手紙が当院に届く。姉夫婦の受精卵を妹の子宮に移植。二度目で着床に至る。
2001年 当院において代理出産により1児出産。養子縁組される。
2001年5月 根津院長、国内初の代理出産実施を公表
2003年1月 厚生労働省が実施した、国民の意識調査
妻が子供を産めない場合に夫婦の受精卵を使って他の女性に産んでもらう代理出産を
  • 認めてよい 45.8%
  • 認められない 22.0%
2003年3月 根津院長代理出産2例目公表
2003年10月 米国にて代理出産した西日本の50代夫妻の双子の出生届が不受理になったことが判明
2003年4月 厚労省生殖補助医療部会が罰則付きで禁止すべきとする報告書案をまとめる。日本産科婦人科学会も会告で禁止
2003年11月 タレントの向井亜紀さん夫妻が米国にて代理出産を実施、代理母が双子の男児出産
2005年11月 米国にて代理出産した西日本の50代夫妻の双子の出生届不受理が最高裁で確定
2006年9月 向井亜紀さん夫妻が提出した出生届が不受理とされた問題で、東京高裁が「向井さん夫妻を親とすることが子の福祉にかなう」と、東京都品川区に受理を命じる決定
2006年10月 根津院長、50代後半の母が娘の代わりに孫を代理出産した例を公表。過去2例を含め代理出産実施は5例に。
2006年11月 法務省と厚労省が日本学術会議に生殖補助医療をめぐる諸問題関する審議を依頼
2006年12月 民主党作業チームが代理出産を認める中間報告
2007年3月 最高裁で向井亜紀さん夫妻の双子の出生届不受理が確定
2007年3月 厚生労働省が実施した、国民の意識調査
妻が子供を産めない場合に夫婦の受精卵を使って他の女性に産んでもらう代理出産を
  • 認めてよい 54.0%
  • 認められない 16.0%
  • 分からない 29.7%
2007年4月 NHK世論調査
代理出産で産まれた子供を、受精卵を提供した夫婦の法律上の子供として認めるべきだと思うか。
  • 認めるべきだ 56.0%
  • 認めるべきでない 12.0%
2007年8月 第8回日本学術会議「生殖補助医療の在り方検討委員会」
当事者からの声という事で、実施医師として根津医師、依頼者として向井亜紀さんが呼ばれる。
2008年1月 日本学術会議の検討委員会が、代理出産を新法で禁止するとする報告書案をまとめる
公開講演会が開催される。
2008年1月 根津医師5例後、2組出産し、1組妊娠継続中と公表
2008年2月 日本学術会議「生殖補助医療の在り方検討委員会」において、代理出産は原則禁止の最終報告書案が出される。
2008年4月16日
日本学術会議におけるで最終報告書が法務省・厚生労働省に提出される。