HOME / 特殊生殖医療部門 / 特殊生殖 / 卵子セルフバンク / ガイドライン
   d  d  d

Special Reproduction

特殊生殖  ー 卵子セルフバンク

ガイドライン

医療法人登誠会諏訪マタニティークリニック
2002年8月8日作成
2009年4月1日改訂



 卵子セルフバンクは、若く健康なうちに自分の卵子(未受精卵)を採取・凍結保存することです。以前は、精子や受精卵の凍結保存は可能でしたが、未受精卵の凍結保存は困難でした。それが「ガラス化法」という凍結技術の開発により可能になり、女性の妊娠・出産のチャンスは飛躍的に広がることとなったのです。
 しかし、卵子セルフバンクについても国の法律などはまだないため、当病院では下記のガイドラインを独自に定め、ご本人に十分ご理解いただいた上で実施します。



第一項:「卵子セルフバンク」とは

 卵子を若く健康な状態のうちに採取・凍結保存すること。妊娠を希望する時期が来たら、解凍して使用します。


第二項:目的

1.卵巣機能に影響を与える白血病やがん、その他の重症疾患の治療に先立ち、卵子を採取・凍結保存し、病気治療後の妊娠や、治療後の妊孕性(妊娠できる可能性)の維持を目的とします。

2.卵子の加齢に伴う妊孕性の低下を防ぐため、若いうちに卵子の採取・凍結保存を行い、妊娠を希望する時点で使用することを目的とします。


第三項:適応年齢

 卵子の採取は原則35歳以前とし、保存は本人が50歳までとします。
 [理由]卵子は35歳以上から急速に妊娠能力が落ち、45歳以上だと妊娠は皆無に近くなります。35歳以降の採取・保存も受け付けなくはないものの、妊娠能力は少ないことを承知してください。


第四項:方法

 排卵誘発剤(内服、注射)を使用後、体外受精の際の採卵法と同様にして採卵。ガラス化法にて凍結保存します。


第五項:費用

・採卵及び凍結料25万円(採卵回数が増えればそれに応じて増額)
・年間保管料2万円(前払い)
・融解使用時29万円(事前検査、事前処置の費用は別途)


第六項:保存期間と廃棄

1.1年毎の保管料の振り込みがされずに半年以上が経過し、本人による確認ができない場合は本人の了解なく廃棄の対象となります。
2.保管料が振り込まれている限り保管することとしますが、原則として50歳になった時点で保管期間は終了し、破棄の対象となります。


第七項:不要となった凍結保存未受精卵の使用

 凍結保存未受精卵のうち、第五項により廃棄対象となったものや、本人が死亡もしくは自然妊娠で出産するなどして不要となったものは、本人の承認や生前同意のもと「別目的」への使用もできることとします。


 「別目的」とは

1. 卵子がなくて必要としている方(ターナー症候群、早発閉経、卵巣摘出術をした方など)への提供
2. 高齢卵子の"若返り"への使用
3. これからの生殖医療の発展の為に必要とされる研究用の卵子として提供


※ガイドラインは、国の法整備や諸状況の変化などを踏まえ、また当病院の倫理委員会にて見直しの必要性を受け、適宜改定をおこなうものとします。




卵子セルフバンクに対する心得

卵子セルフバンクをご利用になる皆様

 卵子セルフバンクを利用するにあたっては、以下の点を十分にご理解の上で臨んでください。


1.凍結・融解後の卵子の受精能力

 凍結・融解しても卵子の受精能力は90%前後保たれます。しかし、採取した卵子が受精可能な卵子であるかどうかを凍結前に判断することはできません。また、その卵子を使って妊娠を試みる時期には年齢がより高くなっていますから、その分妊娠の可能性も下がることが予想されます。


2.採取・保存する卵子の数

 1のような理由から、少なくとも20個以上の卵子を採取・保存することが望まれます。


3.顕微授精の必要性

 未受精卵を凍結・融解すると卵子の外側をおおっている透明帯が硬くなるので、精子が進入しにくくなります。このため、必ず顕微授精の方法をとることとなります。


4.安全性について

 安全性は動物実験では確認されているものの、人為的操作を加える以上、まったく安全とも言い切れません。染色体異常や奇形が発生しても自然発生のものか、凍結操作によるものかの鑑別もできません。未知数な面をたぶんに含む技術であることも十分了解しておいてください。


以上です。
なお、実施に関しての不安、疑問等は遠慮なくスタッフにお伝え下さい。