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Special Reproduction

特殊生殖  ー 高齢不妊

高齢不妊と扶助生殖医療

扶助生殖医療


精子や卵子の提供を受けたり、子宮を借りて妊娠せざるを得ないような、即ち、外の人の助けを得て治療する生殖医療のことを新しいカテゴリーとして扶助生殖医療と呼ぶことにしました。 前述したごとく、加齢の結果発症する無排卵や無精子症に対し、他の人の卵子や精子の提供を受ける非配偶者間体外受精やAIDの頻度は上昇するであろうし、何らかの原因で子宮を無くした結果、代理出産をせざるを得ないようなケースも、加齢と共に上昇すると言っても良いでしょう。 しかし、これ等の内、日本の産婦人科界が是としているのはAIDだけで、後は認めようとせず、国もこれに倣った法律を、罰則まで付けて成立させようとしています。

過日は韓国において日本からの卵子を求めて来る人達のために、卵のブローカー的存在の業者が、韓国で新しく出来た禁止法の下で捕まったという報道がありました。その時の内容からすると日本から300人近い人達の登録がされていたとのこと、それだけの卵子を求めての非配偶者間体外受精に対するニーズがあるわけです。この中のかなりの人達が高齢不妊である率は、非常に高いと私は考えています。かくのごとく、これから益々、高齢が故に、扶助生殖医療を求めなければならない人達が増えて行くことは必至であると考えなければなりません。少子高齢化が叫ばれてから久しくなり、それが加速度的に増えている現状の中で、扶助生殖医療に頼らざるを得ない人達も増えて行くとするならば、扶助生殖医療を禁止するような理に合わぬ取り決めは一刻も早く撤廃して、率先して出来るような体制を、国を挙げて作るべき時に来ているものと考えます。もし、国がそのような方向に動き出せば、扶助生殖医療を求める人達は殺到すると同時に、多くの協力者も名乗りを挙げてくれると思います。

国は本当の意味で、少子化と生殖医療の現状に取組まなければいけないところに既に来ていると思います。




卵子セルフバンク


本来の卵子セルフバンクの目的は、白血病や様々な癌治療、中でも抗癌剤や放射線治療に先駆けて、その人の卵を採卵してストックして置き、治療が終わった段階で、また、未婚の女性であれば、結婚をした段階で体外受精させ、子宮に戻すことにより、妊娠を可能にすることにあり、それが最近は出来るようになりました。働く女性が結婚・妊娠をしている暇が無い場合、せめてもの高齢不妊の善後策としてこの方法を用いることも必要でしょう。前述して来たように、高齢不妊は益々増加することは間違いありません。日本産科婦人科学会ではやっと一部の施設で施行し始めたところですが、国としても率先して卵子セルフバンクを推進する時に来ていると思います。




まとめ

高齢不妊の現実、また、将来像を述べて来ましたが、このまま高齢不妊を黙認するのか、その現象を食い止めるのかの二つに一つであります。 高齢不妊を黙認するならば、もはや国の将来を諦めなければならないでしょう。何故かと言えば、人口の減少は国力の減退に、そして国の崩壊に通ずるからです。 ではこれを食い止めるとするならば、女性に早い内での妊娠を奨励するか、高齢不妊に対するサポート策を講ずるかのいずれかということになります。

女性に早い内での妊娠を奨励するというのならば、若いうちに結婚が出来るための支援をするだけでなくシングルマザーに対する社会のバックアップも必要でしょう。たとえ一人でも女性が安心して子供を育てることの出来る社会なくして、この問題は解決できるとは思えません。 次に後者の高齢不妊に対するサポート策について考えてみましょう。最も現実味があるものは、卵子セルフバンクではないかと思います。卵子セルフバンクは当施設でも既に門戸を解放し、稼働しています。 卵子バンクが普及すれば、もし自分の卵子を卵子セルフバンクに預けておいても、自然妊娠し、バンクの卵子が必要なくなれば、当然本人の同意の元ですが、卵子の無い人に提供することができ、提供卵子の需要過多の現状を充分カバー出来ると共に、高齢不妊の解消にも一役買うことが出来るものと思います。

これ等と併行した形で、前述して来た高齢不妊に関する様々な問題点を話し、若い内での結婚・妊娠を促すことをすべきと考えます。その場合、仲人役のボランティアを募り、また、大学内や勤務先の託児施設の充実、子供をもつ女性に対する様々な優遇措置を充実することを忘れてはならないと思います。何度も申し上げますが、高齢不妊を考えることは、少子化を考えること、そして日本の将来を考えることです。なにも子供を産みたくない女性に産むことを奨励する必要はありませんが、少なくとも産みたいと考えている女性が安心して子供を産める環境を作ることは、今後日本の大きな課題といえるでしょう。

国は今まで放置してきてしまった高齢不妊や生殖医療における問題、そして少子化の問題に対し、安易に「女性は家庭に入って子供を産むべきだ」と結論付けずに、早急に抜本的な意識改革の上、現状に即した将来性のある対策を行うべきだと考えます。