HOME / リプロダクションセンター / 不妊治療について / 不妊治療方法 / 人工授精
   d  d  d

Suwa Reproduction Center

不妊治療について  ー 不妊治療方法

人工授精

13.人工授精(AIH)
 人工授精(AIH artificial insemination with husband's sperm,IUI intra-uterine insemination)とは,射出精液を洗浄して運動能力の高い精子を選別し濃縮して,子宮頚管(頸管粘液)を超えて,子宮の内腔に注入するという方法です.洗浄濃縮の処置に約1時間必要とし,人工授精実施後に30分のベッド上安静をしていただきます.

 その昔この方法が開発された頃の原法では,精液を原液のまま子宮内に注入していましたが,精液内には精子だけがきれいな状態でいるわけではなく,様々な夾雑物が混入しているために,現在では精液をきれいに洗浄して用いています.また,一般的に一回に射精される精液量は2ml程度ですが,子宮内腔はそれほどの容量を持っていないので,原液をそのまま子宮内に入れると子宮内からあふれ出てしまいます.そこで洗浄するだけではなく濃縮して0.3ml程にして子宮内に注入しています.きれいに洗浄するといいましたが,正確に言うと洗浄して運動能力の高い精子だけを選別します.このためにアイソレートという比重の重い液体を用いて,不連続比重勾配層をつくり,これに精液を重層して遠心分離にかけさらに比重の重い精子だけを選び出します(比重の重い精子は運動能力の高い受精能力の高い精子です).射出直後の精液は均等化しておらず粘稠であるため,前述の処理を行う前に30分ほど37℃の環境に静置して充分に液化させる必要があります.洗浄濃縮に最低約1時間必要なのはこのためです.

 人工授精の適応は,今までいろいろな場面で述べてきているので,十分に御承知の方の方が多いとは思いますが,改めて述べさせていただきます.適応は性交後検査(Huhner Test)の結果によって決まってくるものです.人工授精とはたかだか子宮の中に精子を人工的に入れ込んでいるだけで,通常の性交とほとんど変わりがありません.なにが違うかといえば,通常の性交では射精された精液は膣内に放出されて子宮頚管の頚管粘液の前に精子がおかれることになりますが,この頚管粘液をこえて子宮の中に精子を入れ込むのが人工授精で,精子が頚管粘液の前になるか後ろになるかという点だけです.性交後検査の結果がよかった方は,自力で精子が頚管粘液の中に入っていて,自力で当然子宮内にも入っているわけですので手伝って子宮の中に精子を入れてあげるありがたみはなにもありません.ですから,人工授精は性交後検査の結果が悪かった人だけが対象となります.性交後検査不良はもちろん精子の状態が悪い場合にもなりますが,頚管粘液の性状が悪く精子をうけつけないという方や,抗精子抗体が陽性の場合にもなります.(抗精子抗体が陽性の場合には,人工授精ではなくて体外受精の絶対的な適応になります.)

 ここでわかっていただきたいのは,誰彼構わなく人工授精を行っても意味がないということです.性交後検査が良好な人には人工授精の適応はありません.不良であった場合のみがこの治療方法のいい適応となります.
 ただ,排卵日ですよ.今日性交を行って下さいよというと,御主人にプレッシャーがかかりチャンスがもてないという方も結構います.決して少なくはありません.本来ならば,こういった場合にはセックスカウンセリングなどを行い,精神的なストレスなどを取り除くような方法が望ましいのですが,いろいろと忙しくとても其処までは守備範囲にできません.このため,根本的な治療とはなりませんが妊娠だけを考えれば,御夫婦がいやでなければ,人工授精はセックスの代用となりますので,一応適応となります. 

一口メモ 3
男性のED(Electile Dysfunction 勃起障害)について
 EDとは,勃起不全あるいは勃起障害のことで,男性なら多くの人におこりうる病気です.専門的には"性交時に充分な勃起が得られないため,あるいは充分な勃起が維持できないため,満足な性交が行えない状態"と定義されています.最近,日本で行われたEDについての疫学調査の結果によると,40〜70歳までの男性の半分以上が何らかの原因でEDになっていると考えられています.EDはストレスなどの精神的なものが確かに一番関係していると考えられていますが,その他に血管や神経系などの障害も原因になります.糖尿病・高血圧症・心臓病などの血管系の病気,うつ病等の神経系の病気,また,喫煙や飲酒といった生活習慣もEDの原因になることがあります.中高齢になるとEDになる人が増えるのは事実ですが,これは,高齢になるほど高血圧症や糖尿病などの合併症が増えてくるという理由にもよります.加齢(年をとること)はEDの危険因子の一つにはなりますが,加齢=EDということではありません.
 EDの治療は,セックスカウンセリングを含めいろいろありますが,現時点で当院でできうるものは,スーパーリング(あるいはeリング)といって陰茎の根元を締め機械的に勃起を促すものと,バイアグラという内服薬の2種類のみです.バイアグラは高血圧の治療薬を使用している方に併用すると重篤な副作用をおこすことが知られているので,使用の際には医師によく相談した上でよく注意して内服して下さい.