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Suwa Reproduction Center

不妊治療について  ー 不妊症の検査項目

基本的な不妊検査



a) 基礎体温
 起床時,起き上がらないうちに水銀婦人体温計で,舌下にて測定します(最近電子温計が使われることが多くなってきています.しかし,繁雑ではありますが,正確さにおいて水銀体温計が勝っています.もちろん電子体温計でもかまいません.この場合には基礎体温表は少し波を打った形になります.).排卵がある人は二相性の基礎体温表になります.これは,黄体ホルモンが排卵後に分泌されるためで,男性では決して二相性にはなりません.しかしあくまでも基礎体温表は目安で,二相性になっていても,超音波検査をおこなってみると排卵されていない場合もあります.また,体温が一番下がった日が排卵日と思われていますが,やはりこれも目安であり,必ずしもこの日に排卵があるわけではありません(一般的には体温が一番下がった日の前後それぞれ2日をあわせた5日の間には排卵がおきています).けれども,基礎体温表は検査を進めていく上で,治療方針を決める際に,また,妊娠の確認をおこなう上でも大変重要なものです.なるべく測定する習慣をつけるようにしてください.当院では診察のたびに基礎体温表の確認はしておりませんが,判断に迷ったときなどに判断材料にさせていただいています.
 最近"基礎体温はつけています"といって電子体温計のみを持ってこられる方をよく見かけます.しかし,基礎体温とは表にしてその変動をみることによって初めて評価できるものなので,たとえ基礎体温を測定していても判断材料にはなりません.しっかりと体温表として記録して下さい.

b)超音波検査
 専用の細長い超音波プローベを膣の中に挿入し,子宮や卵巣の状態をモニター画面で観察する方法です.患者さんにも画面がリアルタイムでみられるようになっています.初診時には子宮の状態,子宮筋腫はないか,子宮腺筋症はないか,また卵巣の状態,卵巣嚢腫はないか確認を行います.その後は,基本的には排卵日の前後でおこないます.排卵日の前後でおこなう超音波検査は,卵巣にできている卵胞(卵子を含んでいる液体のつつみ,超音波検査では円形の黒い像としてみえます)の大きさ,数を測定して排卵日の予想をおこない(これには,血液検査のホルモン値も参考にします),治療内容を確認します.また,排卵後には卵胞がつぶれてなくなっていることをみて,確かに排卵があったことを確認します(基礎体温が上昇していても排卵がおこなわれず,卵胞が排卵前と同じに存在していることもあります.これをLUF(Luteinized Unruptured Follicle 黄体化非破裂卵胞)といい,何回も繰り返されるようならば,体外受精の適応と考えられます).また,排卵前の子宮内膜を確認することによって,子宮内膜ポリープなどの子宮内腔の異常も診断することが可能となります.体外受精を行う際には,D2(月経が始まって2日目)に超音波検査をおこないます.この際の検査は今回の周期で大きくなってきそうな卵の数を予想し,同時に早期黄体化がおきそうか否かを確認します.この所見に基づいて排卵誘発方法を決定します.

c)性交後検査(Huhner Test)
 排卵日におこないます.頚管粘液(排卵日頃に,おりものとして感じられる卵の白身のようなものです)のなかの運動精子を確認します.指定した日に御主人と関係をもっていただき,翌日(あるいは当日)診察します.この検査は,前述もしていますが,今後の治療方法を決定するうえで大変重要な検査となります.検査結果が不良の場合は,頚管粘液の状態が悪い場合(排卵の時期が検査の時期と合致していない場合は再検査となります),抗精子抗体という精子の運動性をなくしてしまう抗体が女性の血液にある場合,精子の状態が悪い場合の3つの原因が考えられます.この検査が不良の場合には,精子が自力で頚管粘液を超えて子宮のなかに入り込むのはむずかしいと考えられ,人工授精(夫の射出精液を洗浄して不純物を取り除き,運動良好精子のみを子宮のなかに注入します)あるいは体外受精の適応になります.

d)ホルモン検査
 D3−D5(月経がはじまってから3日目−5日目)血液検査です.月経周期で女性のホルモンの値は大きく変動します.そこで,まだあまり変動をしていないこの時期に基礎値の確認をします.また,ホルモン検査は排卵の少し前の時期にもおこないます.この場合には卵の成熟度を示すホルモン(E2 エストラジオール)と排卵の引き金になるホルモン(LH 黄体化ホルモン)の値を調べて,排卵時期を予想します.

 抗ミューラリアンホルモン(AMH)
 注目されている特殊なホルモンです.専門的なことを言えばTGF-βのファミリーに属している二量体の糖タンパクで,胎生期の精巣セルトリcellから分泌されミューラー管の退縮を誘導する働きがあります.不妊症領域で注目されているのは,女性では直径が2-6㎜の小さな卵胞の顆粒膜細胞から分泌されていて,卵巣の予備能力,卵巣年齢の指標になるホルモンだからです.ホルモンの値は通常月経周期の時期によって大きく変動しますが,抗ミューラリアンホルモンは月経周期では全く変動はありません.年齢と共にだんだん減少していきます.30歳で4.2ng/ml,40歳で1.4ng/mlぐらいの値をとります.抗ミューラリアンホルモンはあくまで卵巣にリザーブされている卵の数を反映するもので,卵の質を表しているものではありません.ですから0.10ng/mlのようにすごく低い値であっても妊娠の可能性は十分にあります.また抗ミューラリアンホルモンは体外受精の適応を決めるものではありません.低い値でも通常妊娠は可能です.

宮内腔の異常も診断することが可能となります.体外受精を行う際には,D2(月経が始まって2日目)に超音波検査をおこないます.この際の検査は今回の周期で大きくなってきそうな卵の数を予想し,同時に早期黄体化がおきそうか否かを確認します.この所見に基づいて排卵誘発方法を決定します.

c)性交後検査(Huhner Test)
 排卵日におこないます.頚管粘液(排卵日頃に,おりものとして感じられる卵の白身のようなものです)のなかの運動精子を確認します.指定した日に御主人と関係をもっていただき,翌日(あるいは当日)診察します.この検査は,前述もしていますが,今後の治療方法を決定するうえで大変重要な検査となります.検査結果が不良の場合は,頚管粘液の状態が悪い場合(排卵の時期が検査の時期と合致していない場合は再検査となります),抗精子抗体という精子の運動性をなくしてしまう抗体が女性の血液にある場合,精子の状態が悪い場合の3つの原因が考えられます.この検査が不良の場合には,精子が自力で頚管粘液を超えて子宮のなかに入り込むのはむずかしいと考えられ,人工授精(夫の射出精液を洗浄して不純物を取り除き,運動良好精子のみを子宮のなかに注入します)あるいは体外受精の適応になります.

d)ホルモン検査
 D3−D5(月経がはじまってから3日目−5日目)血液検査です.月経周期で女性のホルモンの値は大きく変動します.そこで,まだあまり変動をしていないこの時期に基礎値の確認をします.また,ホルモン検査は排卵の少し前の時期にもおこないます.この場合には卵の成熟度を示すホルモン(E2 エストラジオール)と排卵の引き金になるホルモン(LH 黄体化ホルモン)の値を調べて,排卵時期を予想します.

 抗ミューラリアンホルモン(AMH)
 注目されている特殊なホルモンです.専門的なことを言えばTGF-βのファミリーに属している二量体の糖タンパクで,胎生期の精巣セルトリcellから分泌されミューラー管の退縮を誘導する働きがあります.不妊症領域で注目されているのは,女性では直径が2-6㎜の小さな卵胞の顆粒膜細胞から分泌されていて,卵巣の予備能力,卵巣年齢の指標になるホルモンだからです.ホルモンの値は通常月経周期の時期によって大きく変動しますが,抗ミューラリアンホルモンは月経周期では全く変動はありません.年齢と共にだんだん減少していきます.30歳で4.2ng/ml,40歳で1.4ng/mlぐらいの値をとります.抗ミューラリアンホルモンはあくまで卵巣にリザーブされている卵の数を反映するもので,卵の質を表しているものではありません.ですから0.10ng/mlのようにすごく低い値であっても妊娠の可能性は十分にあります.また抗ミューラリアンホルモンは体外受精の適応を決めるものではありません.低い値でも通常妊娠は可能です.

e)子宮卵管造影検査
 D10頃に行います.予約検査で,現在は,患者さんすべてに行っています.子宮の奇形,卵管の通過性確認のためのスクリーニング検査です.少し痛い検査ですが,治療方針を決定する上で大変に重要になります.まず子宮の中に管をいれて,レントゲン室に移動していただき,X線透視下のもとこの管を通じて子宮のなかに造影剤を注入して,子宮の内腔の形を調べ,さらに造影剤が卵管を通過して腹腔(お腹のなか)に広がる(拡散)ことを確認します.この検査は前述のように子宮の中に管を入れておこなう検査ですが,管の先端を膨らませて内子宮口を塞ぎ,造影剤が外に漏れないようにしておこないます.この際に,今までお産をしたことがない人の場合には注意して膨らませていかないと子宮に痛みがおきます.当院では細心の注意を払っておこなっていますが,それでも多少の痛みはおきてしまいます.経産婦さんの場合にはこの操作では痛みはほとんどおきません.また,造影剤の注入速度によって痛み方が変わりますが,当院では自動注入ポンプを使用していますので痛みはおきにくくなっています.しかしそれでも両側卵管が閉塞している場合にはかなりの痛みがおきてしまいます.この検査は多少煩雑ですが,診断力は通気検査にはるかに勝ります.子宮の奇形の有無,粘膜下筋腫の有無,卵管の閉塞部位の特定,腹腔内癒着の可能性の有無などを診断することが可能になります.希にアレルギー反応をおこすことがあり,以前は造影剤テストをおこなってから検査をしていましたが,最近はメーカーよりテストをしなくてもいいとの判断がなされ,造影剤テストはおこなっていません.しかし,極希にはおきる可能性もあるので充分な注意を払っておこなっています.

f)通気検査
 D10前後におこないます.卵管の通過性確認のためのスクリーニング検査です.この検査は子宮卵管造影検査で使用した造影剤の代わりに二酸化炭素を子宮の中に注入しておこないます(操作自体は造影検査と同様なためある程度の痛みはあります).まず子宮の中に管をいれて,この管を通じて子宮のなかに二酸化炭素を注入して,ガスが卵管を通過して腹腔(お腹のなか)に漏れ出ていることを確認します.卵管が通過している場合には腹腔内でガスが漏れでる音が聞こえ,子宮内圧が変化をするために記録用紙に鋸状の波形が表されます.また,腹腔内にでたガスはその後に横隔膜の下にたまるために,横隔膜を刺激して肩に放散する痛みをおこします.肩をギューと掴まれたような鈍い重い痛みです.しかしこの痛みがおきることが卵管が通過している証拠にもなります.程度は人によってまちまちですが,この検査で使用したガスの量が多いほど強い痛みを感じます.このため当院では必要最小限のガス量で検査をおこなうよう心がけています.この症状はだいたい一晩で軽快します.
 しかし,現在はすべて子宮卵管造影検査を行っていますので,通気検査を行うのは造影剤にアレルギーのある方のみとなります.

g)クラミジア抗原検査・抗体検査
 クラミジアの抗原検査は綿棒で子宮頚管を軽く擦過することによっておこないます.女性のクラミジア感染は不妊症の大きな原因になります.この感染症は厄介なことに,無症状で子宮頚管炎をおこし,そこから上行して,卵管炎をおこし卵管の閉塞,狭窄の原因を作ります.さらに,無症状のままに骨盤腹膜炎をおこし,腹腔内をを薄い膜状の癒着だらけにしてしまいます.抗体検査は血液検査で,過去にこの感染症にかかったことがあるかないかの確認になります.

h)抗精子抗体検査
 血液検査です.抗精子抗体には,精子の運動性を喪失させるものや,精子の頭と頭をあるいは頭と尻尾をくっつけてしまうものなどいろいろな種類があります.すなわち性交後,膣のなかに射精された精子は,頚管粘液のなかで運動を止められてしまい,あるいは塊状にされてしまい,卵子まで到達することができません.この検査も,全員がおこなった方がよい検査なのですが,保険適応が認められていないために,私費検査となってしまいます.このため,性交後検査の結果が不良だった人のみにおこなっています.抗精子抗体陽性の場合は体外受精による治療法しかありません.

i)精液検査
 いつでも構いません.自宅あるいは病院で精液をとっていただき,顕微鏡下で観察します.WHOの正常精液所見は以下のとうりです.
          精子量   2.0ml以上
          精子濃度  20×106/ml以上
          運動率   50%以上
          奇形率   30%未満  
 しかし.この基準はWHOのものであって,一般治療の基準とは異なります.当院での基準は以下です.
          精子量   2.0ml以上
          精子濃度  50×106/ml以上
          運動率   60%以上
          奇形率   40%未満  
 この検査結果によって治療方針はおおきく変わります.また精子数が極端に少ない場合には,男性の血液検査(ホルモン検査)および,診察をおこないます.

j)月経血培養・子宮内膜日付診
 当院では意味がないと考えているため実施していません.
 よく不妊検査の重要な一つとしておこなわれている月経血培養は,現代においては全く意味がありません.その昔,明治時代や大正時代に性器結核といって子宮の中に結核菌が入り込みそこで繁殖し,子供ができなくなるという病気がありました.この病気にかかっているかいないかを調べるのが,この月経血培養という検査なのです.しかし,私は,いままで何万人もの不妊症の患者さんをみさせていただいていますが,性器結核の患者さんに会ったことは一度もありません.現在では子宮内の異常は超音波検査で十分にわかります.
 高温相の7日目におこなう子宮内膜日付診は,子宮の中に器具を入れ子宮内膜組織を一部取ってきて,それを顕微鏡で見る検査です.子宮内膜は排卵後にでる黄体ホルモンの影響を受けて毎日変化していくため,一日刻みで排卵後何日目と診断が可能です.このため,実際の排卵からの日数と顕微鏡上の診断との違いにより,黄体ホルモンの分泌の異常が調べられます.しかし,この検査には再現性がない点と異常があっても治療方針はほとんど変わらない点があるため,当院ではおこなっておりません.ちなみに不妊検査の中でこの検査が一番痛い検査なのです.


k)その他の特殊検査
 1) LH−RH & TRH 負荷試験
  下垂体よりもさらに上位のホルモン中枢である視床下部から分泌されるLH分泌を促進すLH-RH(LH放出ホルモン)とプロラクチン(PRL)の分泌を促進するTRHというホルモンを注射することによって,下垂体からのLHとPRL分泌の変動を時間を追って採血(0分,30分,60分,120分)して調べる検査です.不妊症すべての方に行う検査ではなく,月経不順やホルモン異常がある場合に,その詳しい原因を調べるために行います.時間経過を追って採血して検査するために,最低でも2時間は必要です.

2) 精子機能の特殊検査
  精子の機能をみる特殊検査がいくつかあります.
   ハムスターテスト(Zona-free hamster egg penetration test),ペネトラックテスト,アクロゾームテスト(The acrosome reaction assay),透明帯接着テスト(The zona binding assay) など,いくつかの精子の機能を測定する検査があります.しかし,これらの検査は結局精子の正確な機能を反映するものではないため当院では行っていません.

3) 体外受精テスト
  次項に詳しく記載してありますが,以上のいろいろな検査をおこなっても不妊の原因が特定されない場合があります.その場合には原因不明の不妊症という範疇に入ります.しかしこの中には,体外受精をして卵を取り出してみると卵の質が何時も悪い.あるいは外見上精子には以上がないのに受精しない.などという場合があり,体外受精をおこなって初めて原因が特定されるという場合もあります.