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不妊治療について  ー 原因となる疾患

子宮体癌

14.子宮体癌
 子供を希望されている患者さんで,子宮体癌である方はほとんどいません.しかし,まれに不妊患者さんのなかにこの病気が見つかる方がいて,癌と名の付く病気のため,"子宮をとらないといけないのではないか?""もう妊娠は100%不可能だ."と信じ込んでしまう場合があるために,あえてここに掲載いたしました.これから説明いたします子宮体癌は,他の癌とは一線を画し,発生機序が全く異なり治療方法が全く異なります.当院でこの病気と診断された後に自分自身の子供をその腕に抱くことができた方は,複数人いらっしゃいます.

a)子宮体癌とは
 子宮体癌(子宮内膜癌)とは,子宮の体部,子宮の奥の部分にできる癌のことをいます.いわゆる,妊娠したときに赤ちゃんが入っている部分です.子宮癌というと一番先に思い浮かべられるのは,子宮頚癌という子宮の出口にできる癌ですが,子宮体癌はこれとは全く異なった年齢層,発生機序ををもちます.
 子宮体癌の罹患年齢は,子宮頚癌に比べると高齢であり,50歳代をピークとしています.40歳未満の罹患は非常にまれです.しかしこの50歳代という年齢層にしても,他の胃癌や大腸癌,肺癌などに比べれば若い年齢層に発症することが特徴です.
 発症機序は,同じ子宮体癌でも2種類に完全に分けられます.1つは若年者(40歳未満)に発生するもので,エストロジェン(女性ホルモン)に依存するものです.教科書的には若年者=40歳未満とされていますが,大まかに言えば,閉経前,すなわちまだ月経周期があるときに発生する子宮体癌と考えてかまわないと私は考えています.乳ガンと同様にホルモン異常が関与する癌で,癌の中では特異な癌といえると思います.2つめは,前者とは異なり閉経後に発生するものです.これは,他の多くの癌(胃癌,大腸癌,肺癌など)と同様に遺伝子に種々の原因で異常がおき,癌化がおきるもので,癌抑制遺伝子のP53の異常などが有名です.Aging,年齢が高くなることが,遺伝子の異常をおこす原因となります.
 子宮体癌のハイリスク因子は,なんと言っても肥満です.この他に月経不順,出産回数があります.まず第一に肥満ですが,これは,体に蓄えられた脂肪細胞がコレステロール(肥満患者では当然高い傾向があります)からエストロジェンを作り出す機能を持っており,このために子宮体癌発生のリスクを高くしているというものです.肥満がある患者では,閉経前では肥満がない患者の20倍のリスクがあり,閉経後も2倍以上のリスクがあると言われています.第二に,月経不順についてですが,月経不順の方は排卵がうまく順調におきないために,排卵後に産生されるプロゲステロン(黄体ホルモン・排卵したあとにでる基礎体温の高温相を作るホルモン)がでない傾向があります.ところが,プロゲステロンには子宮体癌の発生を予防する働きがあります.このため,プロゲステロンが充分に分泌されていない月経不順の患者さんでは,エストロジェンのみが多く分泌されているのでこの疾患にかかりやすくなります.特にPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)の患者さんは妊娠しにくいという不利益もありますが,子宮体癌になりやすいというリスクファクターも併せ持つということになってしまいます.第三に,妊娠し出産し,授乳をしている期間ではエストロジェン単独の刺激にさらされないため,出産回数が多いほど子宮体癌の罹患率は低くなります.

 現在,日本における子宮体癌の発生頻度は,子宮頚癌の約1/3程度です.しかし欧米では,体癌が頚癌の約2倍(子宮癌の約70%を占めている)となっており,日本の発生頻度とは異なる背景を示しています.しかし,日本において1970年当時では,子宮体癌の発生は子宮癌の全体で約3%を占めるにすぎなかったようです.時代とともに子宮体癌の発生頻度が上昇している原因は,日本人の食生活の変化にあるようです.動物性脂肪の摂取量はこの間約4倍に増加して,生活習慣の欧米化が子宮体癌の発生頻度を上昇させているようです.しかし,米国の町を歩いていて,これでもかとあっと驚くように肥満した方を見かけることは少なくありません.以前米国でドライバーズライセンスをとりに行ったとき,助手席にはいってきた試験官の女性は私の倍以上はありそうな体型のかたでした.まだ,それほど暑い季節ではなかったのですが,それでもクーラーは入れてありました.が,車に乗り込むなりすぐにクーラーを最強のコールドに設定し,"start"と彼女はオーダーしました.私は寒い中"右に曲がれ!左に曲がれ!"オーダー通り運転し,ライセンスは無事もらった訳なのですが.......また,街角で見かけたものすごい方は,大腿(太股)に付いた脂肪層が厚くなりすぎて,膝から下方に20-30cm位垂れ下がっているという人がいました.こんなのをみると,日本の食生活がいくら欧米並になってきているというものの,体癌発生率は70%まではいかないのではないかと思います.

 子宮頚癌は,集団検診への参加者の増加で発生頻度の減少がもたらされています.また,初期での診断率の向上が有効にはかられ,末期の子宮頚癌患者さんは著明に減少しています.しかし,子宮体癌では,最近集団検診で頚癌と平行して行われるようになったというものの,まだ充分に啓蒙がされていない現状と検査自体の痛さのためもあって,それほどの検診を受ける人の増加もなく,初期の段階での診断は,集団検診においてはそれ程高いものとはなっていません.

b)子宮体癌の症状
 子宮体癌の症状は,なんと言っても不正性器出血です.月経のある方は,月経期以外の,閉経後の方は何時のものであっても,不正性器出血があったら子宮体癌を疑いましょう.これは,子宮頚癌の性交後出血などの接触出血ではなく,何の誘因もなくおきる出血の場合が多いです.以前,私が診察した方で,子宮頚癌の検診にこられたもう60歳になる方がいたのですが,"私は,もうこんな年になったのに,まだ生理が時々あって,まだまだ若いと思っていますよ""アーーハハハハ"と言ったかどうかは忘れましたが,話を聞いただけで子宮体癌だと診断した通りの結果でした.繰り返しになりますが,閉経年齢をすぎても性器出血がある人は,婦人科に受診しましょう.また,閉経以前であっても,月経期以外に出血がある人も,早く受診しましょう.早期のものであれば,100%完治します.
 子宮体癌で体調が悪くなったとか,体重が減った,下腹部痛がある腰痛があるなどの症状があれば,これはかなり進行したものです.唯一,不正性器出血のみが自覚できる初期の症状です(進行した場合もあります).早期発見をするためには,毎年,施設で,子宮体癌検診を行うことが大切です.

c)子宮体癌の進行期分類,治療成績
 なぜ,進行期分類ができたのかというと,予後との相関があるからです.つまり治療前の状態から,どういう治療方法を選択するのがよいのか,その治療法を選択した場合には,どのくらいの治癒率があるのかがわかるということです.
 子宮体癌の進行期分類は,手術進行期分類と臨床進行期分類の2種類があります.最初に臨床進行期分類すなわち治療を始める前に状態をよく調べて分類する方法はできました.しかし手術を行った症例においては,手術の際の所見が予後との更によい相関を示すことがわかったため,手術進行期分類が作られました.

  手術進行期分類
0期 子宮内膜異型増殖症
I 期 癌が子宮体部に限局するもの
   I a 子宮内膜に限局する
   I b 浸潤が子宮筋層1/2以内のもの
   I c 浸潤が子宮筋層1/2をこえるもの 
II 期  癌が体部および頸部に及ぶもの
  II a 頸管腺のみを侵すもの
  II b 頸管間質浸潤のあるもの
III 期 癌が子宮外に広がるが,小骨盤腔をこえていないもの
  III a 漿膜ならびに/あるいは付属器を侵す,ならびに/あるいは腹腔細胞診陽性のもの
  III b 膣転移のあるもの
  III c 骨盤リンパ節ならびに/あるいは傍大動脈リンパ節転移のあるもの
IV 期  癌が小骨盤腔をこえているか,明らかに膀胱または腸粘膜を侵すもの
  IV a 膀胱ならびに/あるいは腸粘膜浸潤のあるもの
  IV b 腹腔内ならびに/あるいは鼠径リンパ節転移を含む遠隔転移のあるもの

  臨床進行期分類
0期 子宮内膜異型増殖症,上皮内癌
 組織所見が悪性を疑わせるが決定的でない
I 期 癌が子宮体部に限局するもの
   I a 子宮腔長が8cm以下のもの
   I b 子宮腔長が8cmをこえるもの
II 期 癌が体部および頸部に及ぶもの
III 期 癌が子宮外に広がるが,小骨盤腔をこえていないもの
IV 期 癌が小骨盤腔をこえているか,明らかに膀胱または腸粘膜を侵すもの
  IV a 膀胱,直腸,S状結腸または小腸などの隣接臓器に広がったもの
  IV b 遠隔転移のあるもの

 上記進行期分類に,組織学的分化度を加味して予後が予想できます.

   手術進行期別の5年生存率(癌の治療では,完治していなくて再発しても,手術を行ってから5年生存していれば,統計上完治とされます)は,以下の通りです.
Ia 90.0%, Ib 88.2%, Ic 81.0%
IIa 76.9%, IIb 67.1%
IIIa 60.3%, IIIb 41.2%, IIIc 31.7%
IVa 20.1%, IVb 5.3%

d)子宮体癌の診断
 子宮体癌の診断法は以下に示す通りです.それぞれ単独で行うのではなくて,組み合わせて診断を行っていきます.診断を下す上でカバーできることできないことがそれぞれに異なっています.

1) 子宮内膜細胞診
 子宮体癌のスクリーニング検査に必要になります.エンドサイトやエンドブラシなどの器具を子宮の内腔に挿入して,子宮の内膜を擦り取ります.これを顕微鏡で検鏡します.スクリーニング検査としては大変有用な方法ですが,多少の痛みがあるため(人によっては大変に痛い),患者さんには多少の我慢を強いる検査です.でも有用かつ必要です.

2) 子宮内膜組織診
 他の検査で,子宮体癌が疑われた際の確定診断に用います.子宮の内にキュレットという先端が匙のようになっている器具をいれ,子宮内膜組織を削り取ってきます.細胞診よりは痛い検査です.しかし確定診断のためには必ず避けて通れない検査です.

3) 子宮鏡検査
 子宮の中にスコープを入れて子宮の内膜状態を確認する検査です.異常所見のある部位の組織を採取して組織検査をして確定診断とします.子宮内膜組織診がターゲットを絞らずにブラインドで組織を採取するのと比較して,部位をねらって組織を採取するため,より質の高い検査といえます.

4) 血液検査(腫瘍マーカー)
 子宮体癌には,卵巣癌や子宮頚癌などのような特異的な血液マーカーはありません.ただし,転移などのある場合にはCA125やCA19-9などのマーカーの値が上がってきます.このため腫瘍マーカーは一応は治療の前にも測定しますが,治療が終了したあとのfollowの際に用いられます.すなわち再発の予兆をとらえるために使われます.

5) 経膣超音波検査
 経膣超音波で子宮内膜を確認することにより,異常所見があれば上記2あるいは3の検査を行うことになります.異常所見があった際にはほぼ確実に悪性の予見はできますが,確定診断には上記の検査が必要になります.進行した子宮体癌の場合には筋層の浸潤も判断できます.

6) CT
 以前はCTは子宮体癌の進行期をみる上では必要不可欠な検査でしたが,現在ははるかに画像の鮮明なMRIに取って代わられています.しかし,ヘリカルCTという検査時間の短いCTの出現で,リンパ節転移などについてはMRIを凌ぐ所見が得られるため,今でも必要な検査になっています.

7) MRI
 画像は大変鮮明で,子宮の筋層浸潤,頸管への浸潤,卵巣への転移の評価のためには必須の検査となっています.ただ,大変高額な機械であるため,大病院にしかおいてありません.ここら辺では,諏訪日赤のものが一番だと思います.

e)子宮体癌の治療
 癌の治療ということで,子宮頚癌と同様なのではないかと考えておられる方が多いと思います.しかし,体癌の発症機序は頚癌とは全く異なるため,違う治療方法が選択されます(もちろん同じ方法を用いる場合もあります).また,子宮頚部のリンパ管の走行と子宮体部のリンパ管の走行は違うので,進行した場合のリンパ節転移の仕方が異なります.
 体癌の治療でもう一つ大切なことは,若年者の体癌と閉経後の体癌では全く発症機序が異なるので,治療方法は全く違う点です.

1)若年者の体癌の治療
 若年者の体癌は,エストロジェン(女性ホルモン)に依存して発症するために,エストロジェンに拮抗するホルモン治療が主になります.手術はしないで完治させることが可能です(子宮筋層に浸潤(〜子宮の筋肉内に子宮内膜に発症した癌が進入していること〜)がないという条件や,顕微鏡で癌を見たときに高分化癌であるなどの条件を満たす必要はありますが.教科書的には違うと書いてありますが,私が経験した若年性の子宮体癌はすべて高分化型の筋層浸潤のない方で,私が発見した若年性の子宮体癌の方はすべて手術なして治癒しています).方法は,高容量のプロゲステロン(黄体ホルモン)を内服するというやり方です.通常プロゲステロンは10mg/day服用するものなのですが,これを600mg/day飲みます.(短期的な副作用はありませんが,後述のように長期にわたって服用を続ける必要がありませので,長期的にみると,血栓症をおこしやすいという副作用が伴います.注意深く治療する必要があります.)1月2月の間内服したからといって癌がすぐ消えるものではありません.子宮内をよく観察しながら(子宮鏡検査)約6ヶ月から1年の単位で継続して服用して完治します.しかし,若年で子宮体癌になる方は.体質的に体癌になりやすいホルモン環境,体質なのでまた再発してくることがあります.根気よく治療するしかありません.理論的には子宮内膜症や子宮筋腫の治療薬であるスプレキュアやナサニール,リュープリンのように完全に排卵を抑える薬も女性ホルモンを完全に抑制するので治療に適していると考えられますが,臨床的にはほとんど試されていません.私は今まで子宮体癌と診断された後,上記のように治療し妊娠に成功した,少なくても長野県においては初めての症例を持っています.また,その後,さらに体癌と診断された後の完治例は5例,治療後の妊娠例は1例経験しています.若年者の体癌は,手術に頼らなくても妊孕性を温存して治療可能な病気だと考えています.

 2)閉経後の体癌の治療
 ある程度のところ,子宮頚癌に準じます.大きく分けて,治療方法は3つに分類されます.手術療法,放射線療法と化学療法(抗癌剤療法)です.最近はこれに加えて免疫療法,ホルモン療法もおこなわれつつありますが,現段階では上述の3つの治療方法をサポートするにとどまっています.
 子宮体癌のの進行期によって治療方法が選択されます.おおざっぱにいって初期の癌であれば手術療法が,進行したものであれば手術療法と放射線療法と化学療法が選択されます.しかし,これはあくまで一般論であって,現実にはさらに患者さんの年齢や癌の組織型(顕微鏡で見たときの癌の顔)などが加味され治療方法が選択されます.どんな疾患の治療でもそうですが,癌の予後は治療を任せた病院と,治療を担当した医師の判断,その医師の臨床的な技量によって大きく左右されます.癌の治療は,即寿命に関係しますので,いい病院,いい医者を探しましょう!!!

A)手術療法
 癌の進行期にあわせて,単純子宮全摘術,準広汎子宮全摘術,広汎子宮全摘術というように術式は変わります(体癌には広汎性子宮全摘は必要ないという人もいます).これにリンパ節郭清が加わります.たくさんの組織,臓器を取り除けば治療効果は確かに上がりますが,その後生活していく上での大きな副作用に苦しむことになります.必要最小限の手術を選択することが現代の医療,治療では大変重要です.

a)臨床進行期I期
 体癌は卵巣やリンパ節に転移しやすいので,単純子宮全摘術+骨盤リンパ節郭清術か,準広汎性子宮全摘術(この術式の単純子宮全摘術との違いは,膣壁を多少余分にとる点です.膣壁を多少余分に取るというのが結構やっかいで手術時間も長くなりますし,出血量も多くなります)+骨盤リンパ節郭清術が選択されます.両側の卵巣は摘出します.この手術後の病理の結果で化学療法や放射線療法が追加されることになります.

b)臨床進行II期
 このステージでは,広汎性子宮全摘術(子宮の根本を支えている基靱帯という靱帯を骨盤壁近くで切断し,膣壁を十分に切除する点にこの術式の基本はあります.以前は,この術式は極限られた産婦人科医しかできないものでしたが,完成された術式であり現在は多くのdoctorが手がけるようになっています〜もちろん手術の優劣はありますが〜.この手術の後は,膀胱麻痺と直腸麻痺がおきる可能性があります.しかし,最近では術式の工夫がなされ,うまい術者ではめったにこの副作用は現れません.リンパ節郭清をおこなったときにはどうしても下肢からのリンパ液の流れが妨げられ,下肢のリンパ浮腫がおきてしまいます)+骨盤リンパ節郭清術この術式か準広汎子宮全摘術+骨盤リンパ節郭清術が選択されます.試験的に傍大動脈リンパ節の郭清も行われます.ほとんどは,術後に化学療法や放射線療法の追加が必要となります.

c)臨床進行期III,IV期
 IV期は手術の対象にならないことが多いです.しかし.最低子宮と両側卵巣を摘出してから,術後に化学療法や放射線療法を加えた方が予後はよくなります.進行してしまった癌は色々な症状,他臓器の不全状態をもたらすので手術が不可ということもあります.QOLを考えることは常に大切なことでことですが,
QOLしか考えられないということもあります.

B)放射線療法
 放射線療法は手術療法のアシストとして行います.子宮頚癌と異なり,体癌の組織型(前述のように顕微鏡で見たときの顔)には放射線はあまり効かず(子宮頚癌は扁平上皮癌という組織型,癌の顔で放射線感受性が高く,他臓器にあまり障害を残さないで治療可能です)放射線療法では完治させることはできません.完治させようとすると放射線照射野(子宮の部分や子宮周辺のリンパ節の部分に放射線をかけようとすると,どうしてもその範囲に膀胱や直腸や腸が入ってしまいます)の他臓器も致命的な被害を被ることになり,日常の生活が普通にはできにくくなります.子宮体癌においては放射線療法はあくまでも手術療法を補うものの域はでられません.

C)化学療法
 化学療法は子宮体癌の進行したものには多剤併用(何種類かの抗癌剤を組み合わせた治療方法)で行います.癌病変が縮小すればこれに手術療法を併用します.また,子宮体癌臨床進行期I期,II期の手術療法の後に併用されもします.以前は点滴静注療法(バリエーションはありますが)しかありませんでしたが,現在は動注療法といって,癌の病巣を支配している血管に選択的にカテーテルを送り込み,そこから抗癌剤を多くはone shotで入れるという治療方法がおこなわれています.高濃度の抗癌剤を病変部分に入れられ,副作用も少ないという方法です.抗癌剤にはいろいろな薬があり,さらに最近になって新たに開発された薬も加わって,その組み合わせ使い方には種々の方法があります.効果の高い薬を組み合わせて大量に使用すれば確かに治療効果はあがりますが,正常の細胞も殺してしまいます.正常な細胞に与える害は最小限度にして,効果の上がる方法を選択する必要があります.どうしても色々な副作用が生じますが,最近は新しい副作用の予防薬が開発されており,以前ほど副作用には悩まされないようになってきています.

D)免疫療法
 将来の大きな期待を抱いている治療方法ですが,現在のところ補完的な治療方法の域を脱出していません.

E)ホルモン療法
 閉経後の体癌は,若年者の体癌と異なり女性ホルモン依存性に発症するものでは無いので,ホルモン療法はほとんど効果を現しません.しかし閉経後体癌でも肥満があり,高分化型の体癌の場合には主たる治療法を補完する治療法になります.

 以上,簡単に子宮体癌の治療方法について解説をおこないましたが,当院には放射線の治療装置はありませんし抗癌剤の特殊な治療方法もできません.当院で行える子宮体癌の治療はI期のstageのものだけです.これ以上に進行したものは,他の病院を紹介させていただいています.