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不妊治療について  ー 原因となる疾患

早発閉経

12.早発閉経
 この疾患は,まだ閉経年齢にならない20歳代,30歳代で,肉体年齢は若くても,卵巣年齢が閉経年齢に達してしまっている状態をいいます.月経が始まった頃から月経周期が不順で,高校を卒業する頃には1年に2回から3回ぐらいしか月経がこなくなり,20歳代前半位からは完全に月経がなくなってしまうという経過が,典型的な早発閉経の患者さんのたどる道です.なかには原発性無月経といって,月経が一回も来ないという方もいます.こういった方も早発閉経の範疇に入ってきます.しかし,最近では20歳代から30歳代に卵巣嚢腫(特にチョコレート嚢腫)の手術をおこなっていて,30歳の後半から月経が不順となり止まってしまうという経過をたどって,早発閉経と診断される患者さんも増えてきています.

 診断は,月経の経過確認とホルモン検査で行います.早発閉経の患者さんでは卵巣が機能していないため,下垂体からの卵巣を刺激するホルモンであるFSH,LHが極めて多量に放出されています(50歳くらいで通常の閉経を迎えた患者さんも同様です).この値を測定することにより,診断はつきます.また,確定診断のためには腹腔鏡検査を行い,卵巣が萎縮していることを確認し,更に卵巣組織の一部分を生検して,この中に原始卵胞(卵の大元)がなくなっていることを確認することが必要になります.しかし,腹腔鏡検査を行って確定診断をつけても治療方針には何ら変わりがないため,単に研究のためだけの検査となってしまいます.このため,希望される患者さんは別ですが,当院ではこの適応だけでの腹腔鏡検査は行ってはいません.また,早発閉経の患者さんの中には,抗卵巣自己抗体という特殊な抗体が陽性になってしまっているために,発症している方もいます.この場合にはステロイド剤を用いることによって排卵がおきることがあります.しかし,この自己抗体をもっている患者さんは少数で,多くは治療に反応しないいわゆる難治性の早発閉経です.

 治療法は,まず下垂体ホルモンを正常レベルまで下げるためにカウフマン療法といわれている治療(通常の月経周期がおきるようにエストロジェンとプロゲステロンを投与する方法)をおこない,そののちにHMG製剤を大量に投与するような強力な治療があります.通常使用するHMGは150IUという量なのですが,これを450IU〜750IU連日投与(保険は適応外のため私費扱いとなってしまいます)するという方法です.また,この治療法にナファレリールのようなGn-RH analogueをくわえて,自分自身の下垂体ホルモンを完全に抑えた状態にして,外因性のHMGのみで誘発を行うという場合もあります.しかし、今まで何人もの早発閉経の患者さんの治療をさせていただいていますが,この方法では排卵はほとんど起きません.治療を行っているうちに,早発閉経の患者さんは,排卵する周期には排卵は起きるが,排卵のない周期には何を行っても全く排卵は起きないことがはっきり解りました.このため,現在では、waitingカウフマン療法といってまずカウフマン療法を行い下垂体ホルモンレベルを下げ月経をこさせます.この後少し待ってその月経周期で排卵が起きそうなのか否か確認します(頭音波検査と血液検査で行います).排卵がおきそうであれば,その排卵に賭け妊娠をはかります.だめな場合にはまっても時間の無駄でしかないので再びカウフマン療法卯を行って次の月経周期に賭けます.これを繰り返していくという治療法方法です.1年にほんの1〜2回ですが排卵するという場合もあります.この治療方法で,他院では匙を投げられた患者さんが妊娠した例も多々あります.何回繰り返しても排卵がおきない場合には,自力で3年以上にわたって排卵が全く起きない場合には(早発閉経に限ります),自分の子供はあきらめていただくより他はありません.それでも妊娠を希望する場合には,donor eggでしか妊娠の可能性はありません.